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日韓合意を巡る韓国政府の新方針を憂う

                    
 「慰安婦」問題を巡る2015年の日韓合意に対し、韓国の康京和(カンギョンファ)外相が「新方針」を発表した。
日本政府に再交渉は求めないものの、日本が拠出した10億円を凍結し、同額を韓国政府が出す。日本拠出分の扱いは政府間で協議するというのが柱だ。

 これでは合意の根幹を見直すに等しい。10億円は元「慰安婦」の名誉と尊厳を回復し、心の傷を癒やすために韓国政府が設立した財団の事業に、日本政府が「慰安婦」被害者への謝罪のあかしとして出したからだ。
 財団の現金支給事業では、合意時点で存命の元「慰安婦」47人のうち36人が受け取ったか、受け取る意思を示した。受け取りを決めた被害者たちの事情はそれぞれであろうが、老い先短い被害者たちは日本政府からの償い金であるとして、心の中でけりをつけて受け取りを決断したのではないだろうか。

 昨年4月に亡くなった関釜裁判の原告・李順徳さんは、日韓合意の1年以上前からすでに意識がなく寝たきりで、合意について知ることも判断することもできない状態であった。1995年に始まった女性のためのアジア平和国民基金に対して李順徳さんは反対を貫いた。「おらは乞食ではない。あちこちの日本国民から集めたお金は受け取れない。日本の国が『悪かった』と謝罪して、日本の国のお金を出してくれるならば喜んで貰うよ。・・・・・・しかしおらが死ぬ前に解決してほしい。死んだ後では何にもならない」と言って。もし意識があったらどうしたであろうかと、何度も考えてみた。おそらく合意に満足とはいかなくとも受け取りを決断して、けりをつけて心穏やかに死を迎えかったのではないかと思われてならない。

  今回、韓国政府が日本政府からの10億円を凍結して、韓国政府からのお金を充てるという方針は、財団からすでにお金を受け取ったか、受け取る決意をしている被害者たちに「そのお金は日本政府からのお金ではないのですよ」ということになるのであろう。様々な葛藤や思いを持ちながら日本政府からのお金を「償い金」として、受け取りを決断した被害者たちの思いはどうなるのか?韓国が出すという10億円はどんな趣旨のお金なのか?お金を出せば問題はないと思っているのであろうか?受け取った被害者たちの主体性を一方的に無視する権利はだれにもないはずである。「朴槿恵政権は被害者の主体性を無視した」と言いながら、文在寅政権も同じくお金を受け取った被害者たちの主体性を無視しているのではないか?それともお金を受け取った被害者には主体性などはないと思っているのであろうか?

 大統領選で再交渉を公約した手前、国内の強硬世論を無視できない。一方で対日関係の決定的な悪化も避けたいので、再交渉はしない。しかし合意は実質的に骨抜きにする文政権の今回の措置からはそんな思惑が透けて見える。
合意に反対している被害者たちの主な怒りは「心に響く謝罪がなかった」ことにある。日本政府に合意への追加措置として、「被害者の心に届く謝罪を求める」という方針だけで良かったと思う。日本国民の間にも理解が広がる可能性があるであろう。

 一方、今回の文政権の苦渋の方針は、安倍政権への一部の被害者や韓国民の怒りが無視できないほど高まっていることにも目を向けねばならないだろう。合意の際に首相の謝罪の言葉を岸田外相に代読させ、被害者や韓国民の心に響く謝罪をする努力をしなかったこと。和解癒し財団から「首相の謝罪の手紙を出してほしい」という要請すら、「毛頭考えてない」と切り捨てた。アジア各国の団体による「慰安婦」問題に関する資料の世界文化遺産への登録の動きをユネスコへの支出金の凍結をちらつかせて実現を妨害した。「慰安婦」問題をなかったかのごとくしたい安倍政権の振る舞いが「合意」に反対する韓国世論をますます高めているのであろう。

 「慰安婦」問題を巡る両国のナショナリズムの負のスパイラルを断ち切る努力を日本政府もするべきである。文大統領は会見で「日本が心から謝罪するなどして、被害者たちが許すことができた時が本当の解決だ」と述べた。
 日韓合意は「被害者の名誉の回復と、心の癒し」が目的であったはずである。合意に盛り込まれ謝罪が元「慰安婦」たちに届いていないというのなら、どうすれば伝わるのか日韓で知恵を絞るべきだ。 それは「最終的かつ不可逆的解決」をうたった合意の精神に反するものではなく、発展させることになる。安倍政権の「ゴールポストは1ミリも動かさない」というかたくなな姿勢は変えねばならない。

「慰安婦」問題にとりくむ福岡ネットワーク(花房俊雄)





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Author:「慰安婦」問題にとりくむ福岡ネットワーク
私たちは「慰安婦」被害者に20年あまり前に出会い、その被害の深刻さに衝撃を受けました。私たちは被害者が生存中に「解決」したいと、さまざまな道を探りながら活動し続けてきました。今も大きな課題として残る「慰安婦」問題を多くの人に分かりやすく伝え、今後このような性暴力を起さないために私たちはブログを立ち上げました。

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河野談話全文

慰安婦関係調査結果発表に関する河野内閣官房長官談話  いわゆる従軍慰安婦問題については、政府は、一昨年12月より、調査を進めて来たが、今般その結果がまとまったので発表することとした。  今次調査の結果、長期に、かつ広範な地域にわたって慰安所が設置され、数多くの慰安婦が存在したことが認められた。慰安所は、当時の軍当局の要請により設営されたものであり、慰安所の設置、管理及び慰安婦の移送については、旧日本軍が直接あるいは間接にこれに関与した。慰安婦の募集については、軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たったが、その場合も、甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、更に、官憲等が直接これに加担したこともあったことが明らかになった。また、慰安所における生活は、強制的な状況の下での痛ましいものであった。  なお、戦地に移送された慰安婦の出身地については、日本を別とすれば、朝鮮半島が大きな比重を占めていたが、当時の朝鮮半島は我が国の統治下にあり、その募集、移送、管理等も、甘言、強圧による等、総じて本人たちの意思に反して行われた。  いずれにしても、本件は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題である。政府は、この機会に、改めて、その出身地のいかんを問わず、いわゆる従軍慰安婦として数多の苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われたすべての方々に対し心からお詫びと反省の気持ちを申し上げる。また、そのような気持ちを我が国としてどのように表すかということについては、有識者のご意見なども徴しつつ、今後とも真剣に検討すべきものと考える。  われわれはこのような歴史の真実を回避することなく、むしろこれを歴史の教訓として直視していきたい。われわれは、歴史研究、歴史教育を通じて、このような問題を永く記憶にとどめ、同じ過ちを決して繰り返さないという固い決意を改めて表明する。  なお、本問題については、本邦において訴訟が提起されており、また、国際的にも関心が寄せられており、政府としても、今後とも、民間の研究を含め、十分に関心を払って参りたい。(1993年8月4日、外務省ウェブサイトより

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