少女像を守る学生たちとの対話
訪韓便り - 2016年02月21日 (日)
韓国をよく旅行されるA・Hさんから寄稿していただきました。
今回は「慰安婦」問題とは関係のない訪韓だったのですが、韓国人の友人が少女像の前で座り込みをして、「少女像の撤去反対」を訴えている学生グループを紹介してくれるというので、木曜日の夕方(2月11日)、急きょ少女像前に行ってきました。
私が行った日は12、3名の学生が座り込みをしており、年齢は19~23歳、リーダーは23歳の女子大学生でした。
最近、ソウルの日本大使館(現在は仮の事務所)に男性が「12.28合意を取り消せ!」と怒鳴り込むことがあり、どうやら彼女もその場にいたようであり、40数時間警察に拘束されたこともあるようです。
とはいえ、どの学生も「運動に慣れている」ような印象は受けませんでした。一人一人に確認したわけではありませんが、「慰安婦」問題についても勉強中のような印象を受けました。
「日本は一度も謝罪も賠償もしていない」と言っており、それはどんな意味での「一度も」なのか、ひっかかるものを感じましたし、日本政府に謝罪を求めるプラカードなどと一緒に、アン・ジュングンの大きなプラカードが飾ってあったのも気になりました。
日本人は12.28合意をどう解釈しているのかと質問されたので、この問題に関心がある人たちは怒っている。しかし、多くの市民は残念ながらそうではなく、これで問題が解決したと受け取っていると説明しました。
ただ、学生たちと話しながら、そばを通る人たちの反応を見ていると、笑顔で「ファイティン!(がんばれ!)」みたいなポーズをする人もいれば、露骨に顔をしかめ、学生たちの座り込みに批判的であるような人もいました。
この日、通訳をしてくれたのは韓国人の男性と結婚してこちらに住んでいるという、私と同世代の女性二人で(一人は在日コリアン、もう一人は日本人)、特に日本人の方の女性は最近になって「慰安婦」問題に関心を持つようになったというので、実際のところ韓国国内での12.28合意に対する反応はどうかと聞いてみました。
そしたら、確かにニュースでは頻繁に取り上げられているそうですが、彼女の周りでは一度も話題に上ったことはなく(日本人である彼女に気を使ってくれている部分もあるのでしょうが)、正直市民の関心は高いとは言えない。韓国も経済格差が広がって、日々の生活の糧を得るので精一杯で、社会や政治に関心のない人が増えている...との返事でした。
座り込みをしている学生たちの中には、日本語が少しだけ話せる子も何人かおり、「日本が嫌いだからこんなことをしているんではないんです」と、日本語で私に伝えてくれました。私も下手な韓国語で「わかっていますよ」と答えました。
できれば、「慰安婦」問題をナショナリズムに還元せず、今後広い視座を持ってくれればと願います。特に男子学生はこれから兵役に行くでしょうから、その時に軍隊と性暴力の関係性について、自分も加害者の側に回るかも知れない可能性について考えてくれればと、個人的には思います。
(A・H)

「慰安婦」問題にとりくむ福岡ネットワーク
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